こんにちは、ベンチャー支援をしている公認会計士の岡田 哲意です。
この記事では、
- ベンチャーキャピタル(VC)とは何か
- 彼らはどのような仕組み(ビジネスモデル)で運営されているのか
- 彼らから資金調達する際のポイントは何か
を書いていきます。
起業に関心のある方なら、ベンチャーキャピタル(VC)という名前を聞いたことはあるかもしれません。
一方で、ベンチャーキャピタル(VC)がどのようなビジネスモデルで、どのような場合に資金調達手段として適しているのかは、意外と知られていないと思います。
ぜひこのページで理解を深めて、資金調達をスムーズに進めましょう!
目次
ベンチャーキャピタル(VC)とは何か
ベンチャーキャピタル(以下、VC)とは、そもそも何なのでしょうか。
SMBC日興証券ウェブサイトによれば、VCとは「未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドのこと」です。
ポイントとしては、
・主に未上場企業に出資…上場した、メルカリのようないわゆる「メガベンチャー」には投資をしない。融資(貸付)も原則行わない。
・株式を公開(上場)した際に株式を売却…上場した際に株式を売却する(最近はM&Aでどこかに買われた際に株式を売却するパターンも)。
・大きな値上がり益の獲得を目指す…配当でコツコツ儲けるのではなく、値上がり益で一気に儲ける。
というところでしょうか。
ベンチャーキャピタル(VC)の種類
実は上記定義に当てはまればVCといえるため、VCの中にもいくつか種類があります。
日本ベンチャーキャピタル協会の資料(2019年10月)の分類に基づき、解説していきます。
独立系VC
どこかの子会社ではない独立した形で、ベンチャー投資から得られる財務リターンのみを目的に投資を行う、最もシンプルなVCです。
有名なところでは、日本最大規模のVCであるジャフコやグローバル・ブレインがあります。
よくメディアでも見かけますので、皆さんがVCといって真っ先に思い浮かべるのは、このタイプかと思います。
創業したばかりの会社(シード)から上場間近(レイター)まで、VCによって投資するステージも個性に富んでいます。
銀行系VC
MUFG等のメガバンク、静岡銀行等の地方銀行等、銀行が設立したVCを銀行系VCといいます。
JVCAの資料では、2018年に最も投資金額が多いのが、実はこのタイプですね。
銀行本体とのシナジー(相乗効果)を気にする場合もありますが、本業が金融機関ということもあり、CVCと比較すると財務リターンを重視する傾向にあります。
また創業したばかりの会社(シード)より、ある程度ビジネスが固まってきた会社(アーリー以降)に投資をする場合が多く、また他のVCが出資をするのに相乗りする出資スタイルが多いです。(もちろん例外はあります)
CVC
最近増えているのが、商社や事業会社等が設立したVCの「CVC」です。
「コーポレート・ベンチャーキャピタル」の略でして、直訳すると「会社系ベンチャーキャピタル」という感じでしょうか。
有名なのは商社系の伊藤忠テクノロジーベンチャーズや、事業会社系のNTTドコモベンチャーズ、JR東日本スタートアップ、三井不動産の31 Ventures等です。
非常に数が多くバラエティに富んでいます。
商社系CVCは財務リターン重視の印象がありますが、事業会社系CVCは純粋な財務リターン以上に本体とのシナジー(相乗効果)を狙う場合も多いです。
その他(政府系VC 等)
政府系VC等、上記のカテゴリに入らないVCもあります。
政府系の代表的なところは産業革新投資機構(JIC)。
他にも大学系の東大IPC等、様々な主体がVCを立ち上げています。
政府系は民間のVCと過度に競争をすると民業圧迫になるため、民間VCの投資が少ない製造業等の領域を重視することが多いです。
大学系は技術の目利き力を生かし、研究者・技術者の起業を支援する等で特色を出しています。